ロボット映画紹介『素敵な相棒 フランクじいさんとロボットヘルパー』

著者 : HaLu

素敵な相棒 フランクじいさんとロボットヘルパー

素敵な相棒 フランクじいさんとロボットヘルパー

■元泥棒のおじいさん×ロボットヘルパー
高性能なロボットが、介護市場へとどんどん参入してきている今日この頃。なので、この作品はとても身近に感じるはずです。元宝石泥棒のおじいさん・フランク(フランク・ランジェラ)と、超高性能の介護ロボットの絆と友情を描いた、心温まるそして、ちょっぴり切ないお話です。
フランクは元宝石泥棒の70歳。最近では、物忘れがひどくなる一方で、心配した息子・ハンター(ジェームズ・マースデン)は、超高性能な介護ロボットをプレゼントします。このロボットに組み込まれたプログラムはなかなかのもので、自立歩行、会話はもちろんのこと、雇い主の健康管理もできるし、なんとやる気を出させて生きがいまで見つけさせてしまうというのです。
最初はなんとなくロボットが気に入らなかった様子のフランクでしたが、だんだんと元気を取り戻しはじめます。すると、元宝石泥棒の血まで騒ぎ出してしまい、泥棒稼業に復帰することを計画するのですが―――。

■欲しいのは心の支え?
介護ロボットが来るまでのフランクの一人暮らしの生活は、起きる時間はバラバラで、掃除も洗濯もしないで、食事はコーンフレークというなんとも不規則なものでした。日に日に物忘れがひどくなるフランクを心配して、息子のハンターは片道4時間かけて車で様子を見にやってきていましたが、そんな生活にも限界はあります。そこで思いついたのが、ロボットヘルパーをプレゼントすることでした。このロボットおいくらでしたか?と訊いてみたくなるくらいの超高性能で、フランクの乱れていた生活習慣をきちんと直してくれたのです。もちろん掃除、洗濯、食事のお世話は軽々とパーフェクトにこなします。その上、プログラムされた機能を発揮させ、メンタルケアまで行き届いた完璧なヘルパーっぷりなのです。そんなロボットの働きっぷりに、フランクはだんだんと心を許し始めます。ただちょっと脱線もします。昔のくせでちょっとした盗みをしようとしてしまうフランクを見て、ロボットがマネをしてしまいます。それもそのはず、このロボットヘルパーは健康管理プログラムが組み込まれているもので、万引きはいけない、泥棒はいけないということが分かっていなかったのですから。しかしフランクはロボットヘルパーのこの行動に昔の血が騒ぎ、相棒が出来た!と喜び、一緒に泥棒をしようと計画してしまうのです。
この行為はいけないことなのですが、ここで感じることは、フランクが求めていたのは、泥棒に復帰するということそのものではなく、相棒というものが、心の支えが欲しかったのかなという点です。そういった意味で、このロボットの行為は、ロボットヘルパーとしての機能ではなかったかもしれないのですが、結果、心の隙間を埋めるという点では役に立ったのかなと思ってしまいます。

■暗くなりがちなテーマを前向きに
止まらない少子高齢化問題。フランクじいさんのようにロボットヘルパーと一緒に暮らす老人が増えてきてもおかしくない世の中になってきました。フランクは70歳なので、今の現実社会では決して高齢とは言えない年齢であることも否定できません。なので、ヘルパー必要なの?なんて疑問もありました。とはいえ、家族構成の設定は現実的です。離れて暮らす子供たち。息子のハンターは近くに住んでいるとはいえ、毎週末フランクを見に来るわけにはいきません、自分の子供と遊ぶ時間も大切なのですから。そこで考え付いたのがロボットヘルパーのプレゼントだったわけです。娘のマディソン(リヴ・タイラー)の反応はとても興味深いです。海外で慈善活動をしている彼女はロボットに親の世話を任せるなんてと、なんとロボットヘルパーを強制的にOFFにしてしまい、自分で介護を始めます。この辺はちょっとわかりますよね、便利で安心で、完璧にこなしてくれるとはいえ、人間ではなく、機械。そんなところにいろいろな葛藤が芽生えてしまうのは自然なことだと思います。ただ、やはり現実的には人間には物理的にも精神的にもいろいろと限界があるというわけで、うまく共存できればそれに越したことはないのです。これは機械に限った事ではなく、たとえば、そういう職業があるといえども、家族でないヘルパーさんにお手伝いを任せるなんてという心理の延長にあると思います。難しい問題ですが、避けては通れないものなので、どこで気持ちに折り合いをつけるかがテーマと言うことになります。そんな気持ちの葛藤も吹き飛ばして、抵抗なく便利なロボットたちを受け入れられる生活ができる日は着々と近づいてきている気はしてますし、期待は高まるばかりです。

■それでもロボットは機械なのです
「メモリーを消せばすべてが正常に戻り、次の仕事へ行けます」その言葉を聞いて、フランクは背中のボタンを押し、スイッチをオフにします。たとえ電源を切っても、メモリーを消したとしても人間とは違うので、ロボットにとってのそれは死を意味するものではありません。そこに感情はないのです。芽生え始めていた友情のようなもの、絆は人間の中に残るものなのです。思い切ったフランクの決断は、ロボットの気持ちを汲み取った切ないシーンでした。でもその決断は、ロボットヘルパーが完璧な仕事をこなし、フランクの残り少ない人生を楽しませてくれたことへの恩返しから来るものだったと思います。
できることなら、悲しい別れはしたくないですから、たとえそれが前向き決断であったにしても、感情がないのであれば、できれば看取るところまでをロボットにお願いしたいなと言うのが正直な気持ちでした。そこまでのココロのケアを願うのは求めすぎなのでしょうか。

映画公式HP
http://sutekinaaibou.com/
 『素敵な相棒 フランクじいさんとロボットヘルパー』
価格 ¥3,800+税
発売元・販売元 株式会社KADOKAWA 角川書店
(c) 2012 BY HALLOWELL HOUSE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

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